BARKSロングインタビュー「YOSHIKIと平成とミュージシャン」について思うこと


2019年1月3日の19時より、ニコニコ生放送とYouTubeにてYOSHIKI CHANNELの新春特別番組が放送されました。これはBARKS編集長の烏丸哲也氏によるYOSHIKIへのインタビューを包み隠さず公開形式で行うという企画。

BARKSのHPにもこのインタビューが書き起こされており、今回はそのインタビューの感想を書き記したいと思います。

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ファンはアルバムを求めているのではなく、スタジオ録音された音楽が聴きたいだけ

インタビューは平成元年にアルバム『BLUE BLOOD』をリリースし、その後の30年間を振り返るところから始まる。そして話題は最新アルバムについて。

アルバムは完成している。あとは「出す意味」と「出すタイミング」

アルバム自体は昨年の秋時点で完成していると過去のインタビューでも答えており、今回改めて完成が確認されました。
そして5年ほど前からよくインタビューで答えている「アルバムを出す意味」について。しかしながらファンはアルバムという形態に固執しているわけではなく、再結成以降の10年間スタジオで幾度となくレコーディングが行われたX JAPANのスタジオ音源を聴きたいだけなのです。それがアルバムであろうが、シングルであろうが構わないし、CDであろうが配信であろうが、サブスクリプション系であろうが構わないわけで、とにかくスタジオ音源が、未発表音源が聴きたいのです。それを代表する言葉が「アルバム」であると私は思います。
過去のインタビューで「Toshlの声をものすごく引き出せた」など楽曲の出来の素晴らしさを煽られても、ファンはその音源を聴くことすらできないのであり、同意ができない状況なのです。強いて言うなれば今回完成しているアルバムの前にレコーディングされていた旧曲の英語詩バージョンもお蔵入りになっておりぜひ聴いてみたいと思います(まず不可能だとは思いますが)。

100年200年聴かれる曲も世に出ていなければ意味がない

このインタビューのアルバムを出す意味のYOSHIKIの結論として「だからまだアルバムを出す必要がない」と締めくくられています。

そして話題は「アルバムを出すタイミングについて」。YOSHIKIは「アルバムという子どもにすごい旅をさせたい」という壮大な構想を描いており、芸術家としての使命を考えているようです。その使命の究極が「100年200年聴かれる曲を1曲でもいいから残せた」ということであります。しかしながら人間の寿命上、この答えを自身が見届けることはできません。ではどうやって100年200年残るであろう曲と判断するのか。例えばX JAPAN再結成以降何曲か新曲が配信されていますが、TVやメディアで取り扱われる曲は解散前の楽曲が多く、代表するものとして高校野球の応援等でもお馴染みの「紅」が挙げられます。この曲でようやく誕生から30年が経過し、未だに聴かれるている言わずもがな名曲になります。「紅」は今後も高校野球の応援で使われるであろうし、X JAPANを語る上では外せない楽曲であり、必ず出てくる曲であるのは間違いありません。その上で今楽曲が世に出ていなければその旅立ちを見届けることすらできず、死後に楽曲が次々発表されるなんてことになれば、それこそ芸術家にとっては最悪ではないかと私は思います。

最前の流通と最善のタイミングをはかっている

インタビューの最後で「ここまで制作したんだから出さないわけはないですよ」とコメントしているYOSHIKI。冒頭にYOSHIKIが何を思い・何を考え・どこに進もうとしているのか、をインタビューと書かれていたが、芸術とビジネスとの間で結局YOSHIKI自身はどうしたいのか、何を目指しているのか、何をすれば世界制覇なのかがこのインタビューでは見えてきませんでした。2014年のアメリカ「マディソン・スクエア・ガーデン」、2017年のイギリス「ウェンブリー・アリーナ」、YOSHIKI個人としてアメリカ「カーネギーホール」での公演とすでに音楽の3大殿堂を制覇している中で、何も持ってすれば世界制覇なのか。またどこかの有名な会場でライブをすることなのか、全世界に発売するアルバムの枚数か、ダウンロード数か、売り上げか、定期的に海外公演やツアーをすることなのか、結論はいくら考えても今回のインタビューからはわかりませんでした。

今の雰囲気は1996年の『DAHLIA』発売前後に似ている

1996年発売の3rdアルバム『DAHLIA』。このアルバムのレコーディングに疲れボーカリストとしての自信を失ってしまったToshlは、その後YOSHIKIの元を離れ。解散に繋がった経緯があります(正確には疲れきり自信を失ったToshlを見て元妻が脱退を促していました)。このアルバムの時もレコーディングに時間がかかり、完成から発売までかなりの時間を要しました。YOSHIKIはメンバーとの温度差があり結局世界用のアルバムは断念され、著書によるとHIDEですらYOSHIKIに任せている状態であったとのことです。現在も各メンバーはアルバムのことはYOSHIKIに聞いてくれと言った状態であり、アルバムについて語られることはほとんどありません。

完成から発売までの空白の期間。1996年当時はアルバム発売前にアルバムのツアーを行なっているような異常な状況でしたが、結局YOSHIKIの椎間板ヘルニアの再発によりツアーが中止となり、X JAPANとしての活動が休止となりました。
現在も2018年9月末の3DAYS以降、アルバムが完成しているにも関わらずX JAPANとしての表立った活動はなく空白の期間が続いています。元々複雑であるX JAPANとメンバーとの契約関係は報道によれば特にToshlとの契約の関係がこじれていることもあり、発売したらDAHLIAの二の舞になってしまうのかと一層の不安に苛まれています。

純粋にX JAPANの音楽を聴きたい

今回のインタビューを見た結論として、ファンとすれば100年200年聴かれるであろう楽曲たちをどのような手段でもいいので早くこの耳で聴きたいということなのは言うまでもありません。この気持ちどうすればいいのだろうか。